眠り続けるサラリーマン、携帯メールに熱中する学生…。電車やバスなど公共交通機関の優先席をめぐるモラルの低さが目立つ中、高齢者や障害者、病気を抱えている人など、優先席を本当に必要とする人たちに座ってもらうことを促す動きが、都内で広がっている。
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◆マーク公募を陳情
「東京都パーキンソン病友の会」(小平市)では、座席を譲ってほしい気持ちに気づいてもらうためのマークの制定を進めている。きっかけは、同会会員で、元福岡県副知事の斉藤恒孝さん(66)の体験だった。
パーキンソン病は全身の筋肉がこわばり動かなくなっていく難病だが、初期などは、一見難病を患っていることが分からない。
混雑する通勤電車内では座れることはまれ。斉藤さんは、満員電車内で立ち続け、倦怠(けんたい)感で耐えられなくなったが、「席を譲ってください」と声をかけることはできなかった。
同じ病気を持つ人たちに聞いたところ、やはり同じ経験をしていた。そこで、独自に「席を譲ってほしい」との意思表示をする「譲り合い感謝マーク」を考案。併せて都議会に平成21年9月、都が譲り合いマークの公募をしてもらいたいと陳情し、趣旨が採択された。
5月15日の東京都パーキンソン病友の会の総会で案を報告し、活動を広げていく意向だ。斉藤さんは「マーク案にはこだわらないが、事情があって座りたいという人が付けていれば一目で分かるような、分かりやすいマークができたらうれしい」と話す。
◆キーホルダーでPR
文京区の、がん経験者らでつくるNPO法人「HOPE★プロジェクト」では20年から、がんなど外見では分からない病気を抱えている人がいることを知ってもらうための「知ってほしい」キーホルダー(1個300円)を販売している。
最近は、病院で抗がん剤治療などを受け自宅で暮らすがん患者が増えつつあるが、外見では健康な人と見分けがつかず、電車やバスなど公共機関では、ほとんど席を譲ってもらえない。
販売を開始したところ、がん患者のみならず、パニック障害などの精神疾患を抱えた人や、足の弱い高齢者の家族などから購入申し込みが相次いだ。
同様の趣旨のマークには、厚生労働省が進める妊婦がつけるマタニティマークなどがある。HOPE★プロジェクト理事長で、乳がん経験者の桜井なおみさん(43)は「キーホルダーやマークをきっかけに、もっとお互いを思いやれる社会に近づくとうれしい」と話す。
◆雰囲気づくり重要
一方、若者らが高齢者らに自然と席を譲る社会を目指しているのが、東京商工会議所品川支部の「座席譲りを広める会」だ。
16年から、区内の小中学生らに席譲りの大切さを普及啓発したり、熱心な一部メンバーは、優先席に座る若者に「席を必要としている人がいます。譲っていただけませんか?」などと丁寧に声をかけて歩く。決して無理強いはせず、譲る人も譲られる人も気持ちよくなれる雰囲気づくりを心がけているという。
事務局の渋谷貴司さんは「声をかけた後で、妊娠や病気など、座らざるを得ない事情で座っていたことが分かっても、コミュニケーションをとりながら、座席譲りの大切さを理解していただいてます」
HOPE★プロジェクトの桜井さんは、かつて病院帰りで体調が優れない時に優先席に座ったが、高齢男性に「ここは若い人が座る席じゃない」とたしなめられたことがあったという。
桜井さんが座らざるを得ない事情を説明すると、男性は嫌な顔をしてその場を去った。それでも、最近は体調が良いときには、桜井さんは高齢者や妊婦らに優先席を譲りながら、キーホルダーを見せつつ会話を持ちかける。
「すると高齢者も、携帯に夢中になっている若い人でも、大半が分かってくれるんです。座席の譲り合いには、コミュニケーションが非常に大切だと感じています」と桜井さんは指摘している。
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posted by ヨコオ カズオ at 01:17|
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